大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和42(オ)672 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人家本為一の上告理由第一点について。

所論は要するに、原判決が第一審判決認定の売買契約と異なる日時に成立した売

買契約の成立を認定、判断したにかかわらず、第一審判決の主文記載の日時を訂正

するのみで控訴棄却の判決をしたのは、当事者の申し立てない事項について判決し

た弁論主義違反の違法があるか、もしくは、控訴を棄却しながら第一審判決の主文

を訂正したことの根拠、理由が明確でない点において理由不備、理由齟齬の違法、

その他釈明義務違反、審理不尽の違法があるというのである。

よつて検討するに、記録によれば、第一審裁判所は、証拠に基づき本件売買契約

成立の日時を昭和二八年一月一九日と認定し、判決主文において上告人に対し同日

付売買による所有権移転登記手続を命じたところ、原審は、被上告人の主張の訂正

に基づき、証拠に基づき右売買契約成立の日時を昭和二五年一二月末ころと認定し、

判決主文において、上告人の控訴を棄却すると共に一審判決主文のうち登記原因の

日付を昭和二五年一二月末ころと訂正する、としたものである。而して、右第一、

二審判決の認定事実をつうじてみれば、右それぞれの認定にかかる契約は、当事者、

目的物、代金支払方法において同一であることが明らかであり、ただその契約成立

および代金支払の日時が本来昭和二五年一二月末ころから同二六年七月にかけてで

あるものを、第一審における被上告人訴訟代理人、被上告人本人、証人らが昭和二

八年一月に契約が成立し、同年七月にかけて代金の大部分を支払つた旨記憶違いし

ていたため異なつた認定がされたものであるにすぎない。それ故、両契約はその日

時に相当のへだたりがあるとはいえ、契約としての同一性を有するものというべき

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である。従つて、本訴請求原因の変更はなく、被上告人の本訴請求について理由あ

りと判断した原審が控訴棄却の言渡をしたことは正当であり、原判決には所論のご

とき弁論主義違反の違法はない。

つぎに、記録によれば、第一審裁判所が本件売買契約成立の日時を昭和二八年一

月一九日と判示したのは、被上告人訴訟代理人の申立の誤りおよび提出された証拠

の内容の誤りに基づくものであつて、裁判所の意思と表現との間のくいちがいに基

づくものではないことがうかがわれる。しかし、前判示のごとく、第一、二審にお

いてそれぞれ認定した契約が同一のものである以上、右契約を特定するための一要

素にすぎない日時について、その判示の誤謬は、それが記録上明白なものであると

きは、民訴法一九四条一項にいう明白なる誤謬に準じるものというべきであり、同

条を準用して右誤謬を更正することができると解するを相当とする。そして、本件

記録によれば、策一審裁判所が売買契約成立の日時を昭和二八年一月一九日と判示

したことが誤謬であることは明白であるから、これを更正するため第一審判決主文

掲記の登記原因の日付を前示のごとく訂正した原判決は正当である。従つて、原判

決には所論のごとき違法はなく、論旨は理由がない。

同第二点について。

所論の点に関する原審の認定、判断は、挙示の証拠関係に照らして正当としてこ

れを肯認することができ、原判決には所論のごとき違法はない。それ故、論旨は理

由がない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の

とおり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 松 田 二 郎

裁判官 入 江 俊 郎

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裁判官 長 部 謹 吾

裁判官 岩 田 誠

裁判官 大 隅 健 一 郎

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